広告の運用型とは何かそのしくみやさまざまなタイプ
有効な活用方法について分かりやすく解説

"広告を出す際、運用型広告が良いと聞いたことがありますが、具体的にはよく分かりません。"
"運用型広告を導入して集客したいと思っていますが、どのようにすれば成果を上げることができるのでしょうか?"

"運用型広告"は難しく感じられるかもしれません。
"運用"とは何をどうすればいいのか戸惑ってしまいますし
初めて取り組む方にとっては、どこから手を付ければ良いかが分からないこともあります。

今回は、Web担当者として運用型広告に関わろうとする方や初心者の方
基本的な理解を深めたい方向けに、運用型広告の基本を分かりやすく説明していきます。

運用型広告とは?

運用型広告とは、広告主が目標や成果に応じて、予算やターゲット層、広告クリエイティブなどを調整・変更することが可能な広告出稿の手法です。終了後ではなく、運用を通じて効果を向上させることができ、ビジネスの拡大に持続的に貢献できる魅力的な広告手法と言えます。

広告の表示場所が特定の位置に固定されていないため、予算やサイト、広告内容などに応じて最適な広告枠に柔軟に掲載される手法です。
予算や広告内容、キーワード、出稿目的などに合わせて柔軟に広告を出稿でき、その特性があります。

似たようなものには予約型広告(または純広告)がありますが、これは広告が特定の期間と表示回数が確保されるもので、運用型広告と同じ広告枠に掲載されることがありますが、優先的に表示される点が特徴的です。

運用型広告が注目を浴びる理由

運用型広告が注目を浴びる理由の一因は、スマートフォンなどのテクノロジーの進化にあります。
現代では、様々な端末を介して情報にアクセスできるようになり、従来のテレビCMや新聞広告だけでは効果的な広告が難しくなりました。

消費者が利用する端末に応じた柔軟な広告配信が求められ、そのニーズに対応できるのが運用型広告です。
広告主が予算や広告内容に合わせて広告を最適な状態で展開できることが、多様な情報接触ポイントが増加する現代の広告環境で注目される要因となっています。

運用型広告の仕組み

運用型広告は、オークション方式を用いて広告を提供するメカニズムを採用しています。
このオークションでは、広告主が特定の広告スペースに対して「こちらに広告を掲載したい」と入札し、その中から選ばれることで広告が配信されます。

ただし、入札金額が高いからといって必ずしも広告が配信されるわけではありません。
運用型広告の配信には、広告の品質、誘導先サイトの内容、ユーザーの状況などが包括的に考慮されます。

そのため、単に金額だけでなく、広告コンテンツやウェブサイトのクオリティにも留意することが配信の重要な要素となります。

運用型広告のメリット

運用型広告には次のようなメリットがあります。


広告の内容は、リアルタイムで出稿条件を調整可能

運用型広告の大きな特長は、広告主が広告クリエイティブの内容やターゲット、予算などをリアルタイムで調整できることです。
これにより、広告の効果を最大化するために必要な改善や調整を素早く行うことができます。

例えば、広告の反応が期待通りでない場合、即座に広告のコピーや画像を変更できます。
また、広告の費用を調整したり、特定のサイトへの広告の掲載を即座に停止したりすることも可能です。

このようなリアルタイムな広告の最適化ができることから、効果的な広告キャンペーンが展開できるのです。

関連性が高いサービスや商品に興味を持っているユーザーを的確にターゲットできます

運用型広告を提供しているプラットフォームやサービスは、ユーザーの属性やサイト・コンテンツの閲覧履歴などの行動データに基づいて
様々なターゲティング機能を提供しています。

例えば、プラットフォームに登録したユーザーの年齢や性別、あるいは女性向けの商品をよく閲覧しているユーザーに対して
ファッションに関連する広告を効果的に掲載できます。

このように、オンライン上の様々な情報を活用して、関連性の高いユーザー層をターゲットに広告を展開することが可能です。
同時に、広告主が保有する顧客情報なども広告配信に活かせます。

柔軟に予算を管理できます

運用型広告では、広告主が広告の予算を詳細に管理できる特徴があります。

例えば、最初は少額の広告配信でテストマーケティングを行ったり、ある月は固定費を抑えるために予算を減らしたり
キャンペーン期間中だけ予算を増やしたりといった柔軟な調整が可能です。
さらに、クリック課金型やインプレッション課金型など、広告の目的に応じて異なる課金方式を選択することもできます。

これらの要素により、リアルタイムな調整や広告主の柔軟な予算管理が実現され、広告主の状況や目的に合わせて効果的な広告キャンペーンが展開できます。

運用型広告と純広告は何が違うの?

運用型広告と純広告の主な違いは、広告主が広告に対する柔軟性をどれだけ持っているかです。

純広告では、広告主は一定期間の広告枠を購入し、通常、広告クリエイティブの変更が事前に許可されていません。
一方で、運用型広告では、広告主が広告枠に対して入札し、特定の条件を満たす広告がリアルタイムで配信されます。
広告クリエイティブも任意のタイミングで変更が可能です。

要するに、運用型広告では広告主が柔軟に広告をカスタマイズできるため、広告の効果を最大限に引き出しやすいといえます。

箇所運用型広告純広告
オリジナルのクリエイティブなしあり(商品により)
広告の表示場所様々なウェブサービスに表示される(指定も可能)指定された(純広告でのみ配信できる場所や
運用型広告よりも優先される場所)
料金体系広告の配信に基づいて実際に発生したインプレッション数や
クリック数などの結果に応じて費用が発生する
予め定められた購入方式
表示回数の確約なしあり
掲載開始後にターゲティングや
クリエイティブなどの変更
不可
表示決定の基準オークションにおける入札結果による決定広告スペースを事前に予約して購入する先行予約システム
表示期間の基準停止や延長など、柔軟に変更できます。一定期間の予約配信を設定し
停止は可能な場合もあるが延長は不可。

もちろん、純広告には他にはない利点もあります。純広告では、広告を掲載したい枠や期間、数量だけを確実に配信でき
運用に必要がないため計画しやすく、商品によってはリッチな広告表現が可能で、そのインパクトが強調され、印象に残りやすい効果もあります。
使用する目的や用途によって適切に選択することが重要です。

運用型広告に必要な費用

運用型広告は、広告主が広告の配信対象や予算などをリアルタイムに変更でき、これにより広告主は効果的な広告運用が可能です。
では、運用型広告を利用するためにはどのような費用がかかるのでしょうか。

課金方法の種類

運用型広告では、入札によって広告の掲載が決定されますが、費用の発生方法にはさまざまな選択肢があります。

・ クリック課金(CPC型):広告がクリックされると費用が発生します。
・ インプレッション課金(CPM型):広告が表示されると費用が発生します。
・ 視聴課金(CPV型):広告が視聴されると費用が発生します。
・ フォロー課金(CPF型):SNSでアカウントがフォローされると費用が発生します。
・ インストール課金(CPI型):アプリがインストールされると費用が発生します。

入札に際しては、どの課金方法が選択されるのかを確認することも重要です。

クリック課金は、広告に関心を持つユーザーに対してのみ課金されるため、サイトなどへの費用対効果の高い集客を実現するのに有効です。
逆に、インプレッション課金は広告の露出に焦点を当て、広告の知名度向上に適しています。

また、運用型広告の費用は入札金額によって決定されます。
入札金額が高ければ広告の露出も増えますが、同時に費用も増加します。
広告主は予算や目標、広告のパフォーマンスに応じて入札金額を調整することが重要です。

運用型広告の種類


運用型広告という言葉で一括りにされても、配信方法や配信先などによって異なる種類が存在します。
以下では、代表的な4つのカテゴリについて詳しく説明します。

リスティング広告(検索連動型広告)

検索連動型広告は、検索エンジンの検索結果ページに表示される広告形態です。
関連するキーワードに基づいて広告が提示され、ユーザーが高い関心を示す瞬間に広告を表示できます。
このため、他の広告手法と比較しても費用対効果が優れているのが特徴です。
有望なユーザー層に焦点を当てるために、優先的に取り組むべき重要な施策の一つと言えます。

ディスプレイ広告(アドネットワーク)

ディスプレイ広告は、ウェブサイトやアプリなどのコンテンツ上に表示される広告形態です。
告ネットワークを介して、広告主の目標に合わせて媒体への効果的な配信が行えます。
多岐にわたる広告枠や形式が提供され、画像や動画など多様な視覚的表現やメディアでの掲載が可能です。

SNS広告

InstagramやX(旧Twitter)、LINE・TikTok・YouTubeなど
様々なSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を利用して、私たちは情報収集を行っています。
SNS広告はこれらのプラットフォームが提供する広告配信の手段であり、ユーザーのプロフィール情報や行動履歴をもとに
ターゲットのニーズや関心に合わせた広告を効果的に配信できます。

また、SNSは気になる場所や飲食店、商品など身近な情報を検索するためのツールとしても活用されており
広告の有効活用が増加している広告メディアの一環です。

動画広告

SNSを中心に短尺動画の投稿や視聴が一般的になり、広告運用においても動画の活用が増加しています。
動きのある映像や音声を組み合わせた動画は、静止画と比較してより多くの情報を伝えることができます。
また、静止画バナーとは異なり、視覚的に引き付けることができ、短時間でユーザーに直感的にメッセージを伝えることができるのが大きな特徴です。

YouTubeのプロモーション動画の活用も検討してみてはいかがでしょうか。
YouTubeは世界中で広く利用され、広範なユーザー層にメッセージを発信できます。
動画の視覚的な表現は商品やサービスの特長を伝え、対話的な要素を取り入れて視聴者とのコミュニケーションを促進できます。
Google広告プラットフォームと統合されており、高度なターゲティングが可能です。
さらに、広告の詳細な分析が行え、効果の評価や戦略の最適化が可能です。
これらの特長により、YouTubeのプロモーション動画はブランド認知度向上やターゲットオーディエンスとのエンゲージメント促進に寄与します。

運用型広告が配信できるメディアの多くは動画広告の配信にも対応しており、広告運用において動画へのアプローチは欠かせない要素となっています。

成果を上げるための運用型広告のポイント

これまでに述べた通り、運用型広告は多くのメリットを提供し、広告主にとって魅力的な手法と言えます。
ただし、変更や調整の余地が多く、運用型広告を使用したからと言って必ずしも成功するわけではありません。
効果的に利用するには、専門的な知識やスキルが必要です。

以下に、運用型広告で成果を上げるために最低限押さえておくべき5つのポイントを紹介します。

達成したい目標を明確に設定する

最初に運用型広告を導入する際に最も重要なのは、「運用型広告を通じて何を達成したいのか」を明確にすることです。
例えば、売上の増加、ブランド認知の向上、リードの獲得など、目標によって必要な事前準備や最適なアプローチが異なります。
まずは達成したい目的を明確にすることが第一歩です。

ターゲットとするオーディエンスを考察する

運用型広告は、広告主の商品やサービスに関心を持っている可能性の高いユーザーにアプローチするために利用されます。
正確なターゲティングを行うことで、広告費を無駄にすることなく、より効果的に広告を届けることができます。

適切な広告配信先選定

限られた予算や期間で成果を上げるためには、広告媒体や広告手法の選択が極めて重要です。

しかし、広告媒体や手法が多岐にわたるため、これらを選ぶことは非常に難しいタスクと言えます。
ここでは、どのようにして適切な選択を行うかについて、いくつかの考え方を紹介します。

  • ユーザー数に基づいて優先順位をつける
  • 商材にマッチしたユーザーに焦点を当てられるか
  • 特定の広告媒体でしか利用できない広告表示枠か
  • 商材に適したクリエイティブのフォーマットか
  • 競合他社が同様の手法を使用しているか
  • 実施にかかる工数やコストに対して期待される成果が見合うか

広告主の商品やサービスに興味を持ちそうなターゲットは、通常どのメディアを利用しているかを考慮し
彼らに直接インタビューするなどして情報を収集することも有益です。

目標や目的に合わせた広告クリエイティブの作成

運用型広告は、テキストや画像などさまざまな形式で表示されます。
広告クリエイティブを最大限に活用するためには、各フォーマットに適した素材を制作することが重要です。

広告を通じたコミュニケーションにおいて、誰に何をどのように伝えるかは成果に大きな影響を与えます。
ターゲットユーザーのニーズに焦点を当て、広告主の商品やサービスがどのように価値を提供できるかを考え抜くことが不可欠です。

継続的なテストと改善(ここが重要)

運用型広告の成果を最大化するためには、持続的なテストと改善が不可欠です。
成果が出ている広告は継続し、成果が思わしくなく改善が必要な広告は早急に特定して修正することが肝要です。

運用型広告を効果的に活用するためには、上述のポイントを確実に実践することが求められます。
成果を上げるためには、日々の広告運用を入念に行い、効果を最大化するための改善策を継続して実施していくことが不可欠です。

まとめ

運用型広告は多岐にわたり、「運用」が要素として組み込まれているため、初めて取り組む際にはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。
しかし、検索連動型広告(リスティング広告)から始めることで成果を上げやすく
既にSNSの公式アカウントを運用している場合は、相性の良いSNS広告からスタートするのも有効です。

運用型広告において、前回の成功体験が通用しない場合、新たな要素を考慮する必要があります。
市場環境の変化や競合状況の変動、ターゲットユーザーのニーズの変遷などが考えられます。
成功の鍵は常に状況を見極め、柔軟かつ戦略的なアプローチを維持することです。

最初からうまくいかなくても、運用を通して着実に成果を上げる方法に取り組むことで、ビジネスの発展につなげていけるでしょう。